一般社団法人 養老の森は、10月21日に環境省の定める生物多様性保全に資する区域「自然共生サイト」に認定されました。
自然共生サイトとは、国立公園等の保全区域以外に「生物多様性保全に資する地域」として環境省が認めた区域のことです。国際社会でも気候変動対策と同等に生物多様性保全の重要性が叫ばれている中、養老の森のこれまでの取り組みが評価されたことを嬉しく思います。
・「森に還る、街から山への参勤交代」をテーマに、自然観察会や農山村の暮らしを体験するイベント(養蜂、木工など)、四季折々の景観を背景に能舞台や音楽演奏会などの伝統芸術鑑賞会を定期的に開催しており、豊かな自然環境を活かした独自の活動を展開していること
自然共生サイト認定にあたり、養老の森は以下の点が評価されました。
・昆虫のモニタリングリストが詳細で同定精度も高いこと
2023年度からこれまでに認定された自然共生サイトは、大手企業や自治体の所有地が多くを占めており、民間団体の自然共生サイトはまだ多くはありません。そんな中で、今年で10周年を迎えた養老の森が、これからの100年を見据えて現在地を確認する節目の年に認定されたことは、その活動の独自性が理解されたものと解釈しています。
これを機に活動の輪を一層広げ、養老の森をより多くの人に知っていただき、より多くの人の協力で、皆様の想いを次代に伝える森にしていきたいと思います。
国際社会では2030年までの「ネイチャーポジティブ(自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること)」実現に向け、「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」を掲げています。養老の森はこれまでの10年間の活動に加え、今後も100年を見据えて活動を展開し、この目標の実現に貢献していきます。
【30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標とは】
「30by30」は、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。
2022年12月の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、2030年グローバルターゲットの1つとされました。
日本においては、30by30目標の国内達成に向けた仕組みの構築を目指し、環境省主導で「生物多様性のための30by30アライアンス」を設立し、自然共生サイトの認定を進めています。
自然共生サイトは、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定するものであり、認定区域はOECM※として国際データベースに登録されます。
※ Other Effective area-based Conservation Measuresの略。民間等の取り組みにより保全が図られている地域や、保全を目的としない管理が結果として自然環境を守ることにも貢献している地域